職場にいる仕事が遅い人への対処に苦慮し、そのしわ寄せによって自身の業務にまで支障が出ているケースは少なくありません。本人の性格や能力の問題と片付けてしまいがちですが、仕事が遅い背景には、明確な原因が存在します。
働き方改革などによって生産性の向上が求められる現代において、個人の業務遅延はチーム全体の成果や人間関係に深刻な悪影響を及ぼしかねません。また、当事者にとっても改善が見られないまま年齢を重ねることは、キャリアの停滞という大きなリスクにつながる可能性があります。
この記事では、仕事が遅い人に見られる共通の特徴や原因、周囲への影響について解説します。さらに、改善が見られない場合に迎える末路や、業務のしわ寄せを減らすための具体的な対処法も紹介します。
現状の課題を整理し、自分自身を守るための適切なアクションを今日から始めていきましょう。
- 仕事が遅い人に共通する特徴と原因がわかる
- 業務の遅延がチームや人間関係に与える影響が理解できる
- 仕事が遅い人が迎える末路が学べる
- 業務のしわ寄せを減らして自分自身を守る具体的な対処法が身につく
仕事が遅い人の特徴と原因

仕事が遅い人には、単に手が遅いというだけでなく、物事の捉え方や進め方に共通する傾向が見られます。これらの特徴を理解することは、適切な対処や指導を行うための第一歩となります。
ここでは、仕事が遅い人に共通して見られる4つの特徴と原因を解説します。
完璧主義で細部にこだわりすぎる
仕事が丁寧すぎて遅いと言われる人は、完了させることよりもミスのない完璧な成果物を目指すという心理が強く働いている場合が多いです。
こうした人は、本質的ではない資料のレイアウトや細かな言い回しに過剰な時間を費やしてしまい、肝心の納期や全体の進捗を遅らせてしまうことがよくあります。
丁寧さは長所とも言えますが、過度なこだわりは業務効率を著しく低下させる要因となり得ます。
実際に、イギリスの国民保健サービス(NHS)の資料においても、完璧主義は私たちのスピードを鈍らせ、細部にこだわりすぎることで非効率や遅れを招くと指摘されています。(出典:Accepting Imperfection|Health Education England, 2022-11)
なお、完璧主義になってしまう原因や、その悪循環から抜け出すための改善法については、「できないくせに完璧主義になってしまう5つの原因と改善法を徹底解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

優先順位がつけられず効率が悪い
いつも忙しそうにしているのに仕事が終わらない人は、業務の優先順位を適切につけられていないことが主な原因の一つであると考えられます。
重要度や緊急度を整理せず、目の前のタスクから手当たり次第に着手してしまうため、全体の段取りが悪くなりがちです。その結果、手戻りが多く発生したり、納期直前になって時間が足りなくなったりする事態を招きます。
複数のタスクを同時にこなそうとして集中力が分散し、結果として一つの作業も完了しないまま時間だけが経過するケースも少なくありません。
なお、優先順位をうまくつけられない背景には、とりあえず目の前のことから手を付けてしまうという行動パターンが隠れている場合もあります。
このような後先を考えずに動いてしまう原因や、計画性を高める方法については、「後先考えずに行動してしまう習慣を改善|原因と計画性を高める方法を解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

報告や相談をせずに一人で抱え込む
わからないことやトラブルが発生しても、周囲に助けを求めることをためらい、自分だけで解決しようとする傾向も仕事が遅い原因の一つです。
「聞くのが恥ずかしい」「迷惑をかけたくない」というプライドや遠慮が邪魔をして、報告や相談のタイミングを逸してしまいます。初期段階で相談していればすぐに解決した問題が、抱え込むことで深刻化し、大きな遅延につながることもあります。
適切なタイミングでの報連相は、自分だけでなくチーム全体の時間を守るために不可欠なスキルといえます。

マイペースで危機感がない
納期や時間に対する意識が希薄で、周囲が忙しくしていても自分のペースを崩さないタイプも存在します。
仕事の遅れがチーム全体に与える影響を想像できておらず、仕事が残っていても定時になれば帰宅するなど、当事者意識が欠如しているように見える場合があります。こうした性格や価値観の影響が大きい場合、周囲から指摘されない限り、自分の仕事の遅さを自覚しにくい傾向があります。
周囲との温度差に気づかず、マイペースに進めることで信頼を損なっている可能性も否定できません。
- 期限ギリギリになるまで着手しない
- メールの返信に1日以上かかることが多い
- デスクやPCのデスクトップが散らかっている
- 「後でやります」が口癖になっている
- 作業時間の見積もりが甘く、予定通りに進まない
仕事が遅い人が周囲に与える影響

個人の仕事の遅れは、本人だけの問題にとどまらず、チーム全体や職場環境に波及してさまざまな悪影響を及ぼします。
ここでは、仕事が遅い人がいることで周囲に生じる3つの影響について解説します。
業務のしわ寄せで負担と残業が増える
仕事が終わらない人の分を周囲がカバーしなければならず、その結果、優秀な人や真面目な人にしわ寄せが集中する構造は、多くの職場で問題となっています。
本来の自分の業務に加えて同僚の尻拭いまでさせられるため、残業時間が増加する傾向にあります。こうした業務のしわ寄せは、能力が高く効率よく働く人ほど集中しやすく、業務過多による疲弊を招く悪循環に陥るおそれがあります。
他人のパフォーマンス不足によって自分のプライベートな時間が奪われることは、大きなストレス要因といえます。

なんで私ばかりフォローしなければならないの?



あの人の尻拭いはもう嫌だ。自分の仕事に集中させてほしい。
厚生労働省の調査によると、現在の仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスがある労働者は6割を超えており、その原因として「仕事の量」を挙げる人が43.2%と最も多い結果となっています。(出典:令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況|厚生労働省, 2025-08)
不公平感が生じてモチベーションが下がる
仕事が遅い人が長時間の残業により残業代を多く受け取り、効率よく定時で帰る人よりも手取りが多くなるような状況は、周囲に「ずるい」という感情を抱かせます。
「真面目に働くほうが損」「能力不足なのに得をしている」という不公平感がチーム内に蔓延することは、組織として避けるべき事態といえます。こうした状態が続くと、「自分は正当に評価されていない」と感じる人が増え、結果としてモチベーションの高い社員のやる気を削ぐおそれがあります。
努力や成果に見合わない待遇の差は、組織への不信感を募らせる大きな要因となります。
- 同僚の残業時間や手取り額が以前より気になる
- 仕事を頑張るだけ損と感じることが多い
- 評価や給与の話題や愚痴が職場で多くなっている
- 本来の仕事よりも「誰がどれだけ働いているか」に意識が向きやすい
なお、仕事を頑張るだけ損だと感じる理由や、その状況から抜け出すための対処法については、「仕事を頑張るだけ損だと感じる理由とその状況から抜け出す対処法」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


チーム全体の遅れや人間関係の悪化につながる
一人の作業の遅れがボトルネックとなり、プロジェクト全体の進行を止めてしまうため、周囲に多大な迷惑がかかることがあります。
必要なデータや資料が期限通りに上がってこないことで待ち時間が生じ、自分のペースで仕事が進められない状況が続くと、周囲は強いイライラを感じやすくなります。その状態が長引けば、職場全体の士気が低下し、人間関係の悪化にもつながる可能性があります。
円滑なコミュニケーションと良好な職場環境は生産性向上の基盤であり、一人の遅延がそれを崩すきっかけになり得ます。
厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」でも、コミュニケーションの良好な職場や快適な職場環境は、ストレスの軽減や生産性の向上につながるとされています。(出典:気配りしてますか -上司・同僚の方へ-|こころの耳, 最終閲覧2025-12)
仕事が遅い人が迎える末路とは?


仕事の遅さが改善されないままでいると、将来的には本人にとって望ましくない結果を招くリスクが高まります。
ここでは、仕事が遅い人が迎える可能性のあるキャリアや人間関係上の末路について解説します。
重要な仕事を任されず評価が下がる
納期を守れない状態が続くと、本人に対する信用が損なわれやすくなり、責任あるプロジェクトや緊急性の高い案件から外される可能性があります。
その結果、誰にでもできる雑用やルーチンワークばかりを任されるようになり、スキルアップの機会を逃すことにつながります。
成果主義が浸透する環境では、スピード感の欠如は評価を下げる大きな要因となり得ます。
周囲に見放されて誰からも助けてもらえなくなる
度重なる業務の遅延で周囲に迷惑をかけ続けると、同僚からの不満が限界に達し、助けを得ることが難しくなる状況に陥るおそれがあります。
ランチや飲み会に誘われなくなるだけでなく、何気ない雑談やちょっとした情報共有の場にも入りづらくなることがあります。こうした状態が続くと、心理的な孤立感が深まり、心身への負担が大きくなるリスクも否定できません。
信頼関係が損なわれ、困った時に周囲から手を差し伸べてもらえない状況は、精神的に大きな負担となります。
スキルアップの機会を逃してキャリアが停滞する
同じ時間内にこなせる業務量が人より少ないため、経験値やスキルの蓄積スピードが相対的に遅くなる傾向があります。
業務の効率化や改善方法を考える力が身につかないまま年齢だけを重ねてしまい、市場価値が上がらないというリスクが生じます。結果として、より条件の良い会社への転職や社内での上位ポストへの抜擢など、将来的なキャリアアップの選択肢を自ら狭めてしまうことになりかねません。
成長の機会を逃し続けることは、部署異動や転職の選択肢を取りづらくするなど、不自由なキャリアにつながる可能性があります。
業務のしわ寄せを減らす具体的な対処法


仕事が遅い人に対して、ただイライラしたり我慢したりするだけでは状況は改善しません。相手を変えることは難しいですが、こちらの接し方や業務の進め方を見直すことで、自分の負担を減らすことは可能です。
ここでは、業務のしわ寄せを減らして自分自身を守る具体的な対処法を紹介します。
安易に手伝わず自力で解決させる
「手伝ってしまうと本人のためにならない」という認識を持つことが重要です。仕事が遅いからといってすぐに手を貸すと、本人はそのペースに甘えてしまい、いつまでたっても業務スピードが上がらない可能性があります。
自分の仕事には最後まで責任を持たせ、完了するまで見守ることは、長期的な視点で意味のある対処法といえます。仕事が遅い人を安易に手伝わないという選択は冷たさではなく、相手の自立を後押しするための有効なスタンスです。
安易なサポートを控えることで、本人が自分の課題と向き合う機会を作ることができます。
期限を明確に示して進捗を確認する
「なるべく早く」「来週中に」といった曖昧な指示は避け、「10日の15時まで」と明確なデッドラインを設定することが効果的です。
仕事が遅い人は時間の見積もりが甘いことが多いため、最終納期だけでなく中間報告のタイミングも決めておくことが推奨されます。
こまめに進捗を確認することで、手遅れになる前に軌道修正を行うマイクロマネジメントは、仕事が遅い人への指導方法として有効です。
期限への意識を高めさせるには、具体的な数値目標と定期的なチェックが欠かせません。
業務を細分化して優先順位を指示する
何から手をつけるべきか迷う時間をなくすため、大きなタスクを小さな作業単位に分解して渡すことが有効です。
その上で「まずはこれを終わらせてから次」というように、着手すべき順番を明確に伝えます。段取りが苦手な仕事が遅い部下や上司であっても、目の前の作業に集中しやすい環境を整えることで、迷いが減り作業スピードが向上する可能性があります。
タスクの大きさに対する心理的な負担を軽くし、着手しやすい状態を整えることがスムーズな進行につながります。


相手を責めずに肯定的な言葉をかける
なぜ遅いのかと問い詰めるのではなく、「丁寧にやってくれてありがとう」「何か困っていることはない?」と寄り添う姿勢を見せることが大切です。
心理的な圧迫感を取り除くことで、報告や相談がしやすい環境を作ることができます。仕事が遅い人にかける言葉を工夫し、敵対せず味方としてサポートすることで、相手の萎縮を防ぎ、パフォーマンスを引き出す効果が期待できます。
その際は、感情的に叱責するのではなく、安心感を与えつつ必要な行動を促すコミュニケーションを意識することが大切です。
厚生労働省のポータルサイト「あかるい職場応援団」でも、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラには該当しないとされています。(出典:Q&A|あかるい職場応援団, 最終閲覧2025-12)
感情的にならず、事実に基づいて改善点を伝えることで、相手の心理的安全性を保ちながら指導しやすくなります。
| 避けるべき言い方 | 望ましい言い方 |
|---|---|
| なんでまだ終わらないの? | 何か困っている手順はある? |
| 早くして | 11時までにできそう? |
| 何度言ったらわかるの? | 一緒に手順を確認しようか |
| 遅いよ | 丁寧に進めてくれてありがとう |
このようなコミュニケーションを取るためには、自分の共感力や相手への向き合い方を見直すことも大切です。
共感力を高める方法や自分と向き合うための心構えについては、「共感力がない人の特徴とは?共感力を高める方法と心構えを詳しく解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。


仕事が遅い人の特徴や末路まとめ


この記事では、仕事が遅い人の特徴や原因、周囲への影響、そして業務のしわ寄せを減らすための対処法について解説しました。
仕事の遅れによるしわ寄せは、個人のストレスだけでなくチーム全体の生産性を下げる要因になりかねません。相手を変えることは簡単ではありませんが、期限の明確化や業務の細分化など、自分側のアプローチを工夫することで状況が和らぐ可能性があります。
まずは安易に手伝いすぎることを避けつつ、自分の時間と心身を守りながら相手の自立を後押しするスタンスを意識してみてください。
最後に、ここまでのポイントを振り返りましょう。
- 完璧主義や細部への過度なこだわりが遅延を招きやすい
- 優先順位づけの甘さが手戻りや納期遅延を生みやすい
- 報告や相談の遅れや不足がトラブル拡大の要因になり得る
- 納期意識の希薄さやマイペースさが信頼低下を招きやすい
- 業務のしわ寄せは真面目な人ほど負担や残業を増やしやすい
- 不公平感の放置はやる気低下や組織への不信感を強めやすい
- 一人の遅延がプロジェクト停滞や人間関係の悪化を引き起こしやすい
- 納期遅れが続くと重要な仕事を任されにくく評価も下がりやすい
- 遅延を繰り返すと周囲から距離を置かれ孤立しやすくなるリスクがある
- 経験やスキルの蓄積が遅れ市場価値やキャリアの伸びが鈍くなりやすい
- 安易に手伝わず自力で完遂させる姿勢が相手の自立を促すうえで有効である
- 明確な期限設定と中間報告のルール化が遅延防止の具体策として有効である
- タスクの細分化と優先順位の明確化が迷いを減らし作業の進行に役立つ
- 相手を責めず肯定的な言葉と適切な指導で心理的安全性を保つことが大切
よくある質問
仕事が遅い部下にイライラしてしまうときはどう対処したらいいですか?
イライラするのは、自分の業務に支障が出たり負担感が大きくなったりしているためである場合が多いです。まずは「相手の問題」と「自分の問題」を切り分け、手伝いすぎないように自分なりの線引きを意識してみましょう。その上で、期限管理やタスクの細分化など、相手が動きやすい仕組みづくりに注力すると、感情的な負担がいくらか軽くなる可能性があります。
丁寧すぎて仕事が遅い人にはどう指導すればよいですか?
丁寧さは素晴らしい長所であると認めた上で、「今回はスピードを優先してほしい」「60点の出来で一度見せてほしい」と具体的な合格ラインを伝えるのが効果的です。完璧を目指す心理的ハードルを下げてあげる指導が、現場でも取り入れやすい方法の一つです。
頑張っているのに仕事が遅い人にかける言葉を教えてください。
「いつも一生懸命取り組んでくれてありがとう」と努力を承認した上で、「何かボトルネックになっていることはない?」「一緒に段取りを見直そうか」とサポートを申し出る言葉が適しています。責めるのではなく、解決策を一緒に探す姿勢を示しましょう。
仕事が遅くて残業代を稼いでいる人ってずるくないですか?
周囲から見れば「ずるい」と感じるのは自然な感情です。ただし、評価制度によっては、長時間働くことよりも成果や生産性を重視している場合もあります。不公平感が強いときは、上司に業務分担や評価の基準について相談するか、自分の成果を正当に伝えることに意識を向けるとよいでしょう。
仕事が遅い人を手伝わないことは組織としていけないことでしょうか?
いいえ、必ずしもいけないことではありません。安易な手助けは本人の成長を阻害し、結果として組織全体の自立を妨げる一因になる場合もあります。緊急時を除き、基本的には自力で完遂させてもらうというスタンスを意識することが、長期的な人材育成や組織づくりの観点から有効なケースもあります。



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