ふとした瞬間に、悪気なく思ったことを言ってしまい、「あの時、言わなければよかった」と後悔することは少なくありません。そうした場面が続くと、つい言葉が出てしまう自分の性格を責めてしまうこともあります。
この記事では、思ったことを言ってしまう5つの原因や心理的背景を整理し、衝動的な発言を未然に防ぐための具体的な改善法を解説します。あわせて、相手に寄り添いながら本音を届ける上手な伝え方も紹介します。
正直さを活かしながら、相手への配慮も両立できる伝え方を、今日から少しずつ身につけていきましょう。
- 思ったことを言ってしまう5つの主な原因がわかる
- 衝動的な発言を未然に防ぐための具体的な改善法が学べる
- 相手に寄り添いながら本音を届ける上手な伝え方が身につく
- 正直さを活かして人間関係を円滑にするためのヒントが得られる
思ったことを言ってしまう主な原因とは

思ったことをすぐ口に出す行動の裏には、さまざまな心理的要因や環境的な背景があります。ここでは、なぜ言葉のコントロールが難しくなるのか、主な5つの原因を解説します。
自分の行動パターンを客観的に把握することが、改善への第一歩となります。
話しながら考えを整理しようとする
思ったことを言ってしまう原因の一つに、会話そのものを思考の整理の場として使っているケースがあります。
通常は、頭の中で考えをまとめ、相手に伝えるべき内容かどうかを確かめてから発言します。一方で、このタイプの人は思考がまとまる前に口が動き始めやすい傾向があります。
本人にとっては話しながら考えを明確にしているつもりでも、聞き手には推敲されていない未完成の本音や配慮に欠ける言葉が唐突に届き、誤解につながることがあります。
例えば、会議でブレインストーミングをしているわけではないのに、思いつきの否定意見を口にして場の空気を凍らせてしまうといったケースが挙げられます。
沈黙を過度に恐れている
会話中に訪れる「間」や沈黙に強い不安や気まずさを感じると、失言の引き金になりやすくなります。「何か話さなければ場が持たない」「相手を楽しませなければならない」というプレッシャーから、焦って言葉を探してしまいます。
この焦りで言葉のブレーキが利きにくくなり、本来言うつもりではなかった余計な一言や、心にもないお世辞、あるいは相手のプライベートに踏み込みすぎた質問などが出やすくなります。沈黙を埋めること自体が目的になり、会話の内容や質に意識が向きにくくなる状態といえます。
職場のエレベーターで上司と一緒になった際、沈黙に耐えきれず「最近太りましたか?」などと不適切な話題を振ってしまうのが典型的な例です。
また、沈黙を恐れるあまり、話が長くなってしまい、相手に負担を感じさせてしまうこともあります。
話が長いことで生じる職場での悪影響や対処法については、「話が長い人にイライラするときの対処法|5つの特徴と心理を徹底解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

自分の知識や正当性をアピールしたい
承認欲求が強く、周囲に自分の知識や優秀さを認めさせたい気持ちが強いと、一方的な発言が増えやすくなります。
相手の話を聞くことよりも、自分が話すことで得られる満足感を優先しやすく、会話の流れを遮ってまで意見を主張してしまうことがあります。
特に、相手の間違いを指摘したり、自分の知識をひけらかしたりして優越感を得ようとする言動は、周囲の反発を招きやすくなります。
「相手のため」という名目になっていないか、実は自分の知識を誇示したい気持ちが前に出ていないか、振り返ってみることが大切です。
- 相手が話し終わる前に「いや、それは違う」と遮る
- 「でも」「だって」という否定語から話し始める
- 聞かれてもいないのに専門知識を長々と語る
- 相手の意見に対してすぐに解決策を提示しようとする
さらに、こうした言動は、相手に「マウントを取っている」と受け取られてしまう可能性もあります。
マウントを取る人の特徴や心理、その態度を続けた先にある彼らの末路については、「マウントを取る人の5つの末路|特徴や心理をわかりやすく解説」の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

正義感が強く曲がったことが嫌い
「嘘をつくのは悪いことだ」「事実は正確に伝えるべきだ」という思いが強いあまり、オブラートに包む配慮を不誠実だと捉えてしまう人もいます。このタイプは、自分の価値観や正義に強い自信を持っており、思ったことをストレートに口に出すことが相手のためになると信じています。
しかし、人間関係においては正しさよりも優しさや共感が求められる場面も少なくありません。事実であっても、伝え方によっては相手を傷つけたり、攻撃されたと受け取られたりする可能性があることを意識しておくことが大切です。
例えば、同僚の新しい髪型が似合っていないと感じた時に、「似合ってないよ」と正直に言ってしまう場面などがこれに当てはまります。
また、正論ばかりを振りかざす姿勢は、相手に理屈っぽい人という印象を与えてしまうことがあります。
その理屈っぽい人がめんどくさいと感じられる理由や具体的な対処法については、「理屈っぽい人の特徴6選│めんどくさいと感じる理由と具体的な対処法」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

相手のことを考える余裕がない
性格や思考の癖だけでなく、心身のコンディションも発言のコントロールに影響します。
仕事の疲労や精神的なストレスが蓄積していると、衝動を抑える余裕が減り、言葉がきつくなりやすいことがあります。普段なら飲み込める一言でも、余裕がない状態では感情的な言葉として出やすくなります。
厚生労働省の令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は68.3%と報告されています。(出典:令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省, 2025-08)
こうした状況では、余裕がないときほど言葉選びが雑になる場面も起こり得ます。
思ったことを言ってしまう癖を改善する方法

つい口に出してしまう癖を改善するには、精神論で我慢するのではなく、行動や習慣を見直すことが重要です。ここでは、衝動的な発言を減らすための具体的な方法を紹介します。
できることから始め、言葉を選ぶ力を少しずつ育てていきましょう。
発言する前に一呼吸置いて冷静になる
何かを言いそうになった瞬間に、意識して「間」を作ることは有効な方法です。言いたいことが喉元まで出かかったら、まずは意識的に深く息を吸って吐く動作を行いましょう。
英国の国民保健サービス(NHS)の公式サイトでは、ストレスを感じたときに試せる方法として呼吸法を紹介しています。(出典:Breathing exercises for stress|NHS, 最終閲覧2025-12)
発言前に一呼吸置くことで、反射的に言葉が出る流れをいったん止めやすくなります。

これは今、本当に言う必要があることかな?
さらに、一呼吸置いたタイミングで、この問いかけを心の中で自分に投げかける習慣をつけましょう。
言われた相手の気持ちを考える
言葉を発する前に、「これを言われたら相手はどう感じるか」を一度立ち止まって考える習慣を持ちましょう。これはコミュニケーションの基本ですが、思ったことをすぐ口に出す人は、自分の言いたいという欲求が先行してしまう傾向があります。
具体的には、自分が言おうとしている言葉を自分自身に向けられたものとして想像してみます。もし自分が言われて傷つく、あるいは不快になると感じるなら相手も同じように受け取る可能性があります。
自分のスッキリ感よりも、その場の空気や相手との関係性を優先する意識を持つことが強力な抑止力となります。
例えば、部下のミスを指摘する際、「なんでこんなこともできないの?」と言う前に、自分がそう言われた時の萎縮する気持ちを想像してみましょう。そうすると、言葉を飲み込める場面が増えていきます。
なお、相手の感情に寄り添うためには、共感力を意識することも大切です。
共感力を高めるために必要な考え方や、相手の気持ちを理解するための聞く姿勢については、「共感力がない人の特徴とは?共感力を高める方法と心構えを詳しく解説」で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。


聞き役に徹して自分から話す割合を減らす
失言のリスクを減らすうえで有効なのは、自分が話す量を意識して減らすことです。会話の主導権を相手に譲り、自分は聞き役に徹することを意識してみましょう。無理に面白いことを言おうとしたり、沈黙を埋めようとしたりする必要はありません。
カナダ労働安全衛生センター(CCOHS)の資料では、良好なコミュニケーションにおいてアクティブリスニングが重要な要素であると説明されています。(出典:Mental Health – Active Listening|CCOHS, 2025-08)
相手の話をただ聞くだけでなく、うなずきや相槌、質問などで理解を示しながら耳を傾ける姿勢を指します。
自分から話す割合を減らし、相槌や質問で相手に話してもらうことで、失言のリスクを抑えやすくなります。


思ったことを紙に書き出し可視化する
言いたいことやモヤモヤした感情を我慢するだけでは、ストレスが溜まりやすくなります。
そこでおすすめなのが、思ったことを口に出すのではなく、ノートやスマホのメモに書き出す方法です。ジャーナリングのように、口ではなく文字で出すことで、言葉を整える余地が生まれます。
頭に浮かんだ思考や感情を、日時や内容にこだわらず、ありのまま紙に書き出す行為を指します。「書く瞑想」と呼ばれることもあります。
誰に見せる必要はないので、率直な感情をそのまま書き出して構いません。文字にして可視化すると、感情と事実を切り分けやすくなり、口に出す前に言い回しを整える余裕が生まれます。


相手に寄り添いながら本音を届ける上手な伝え方


思ったことを言ってしまう癖を改善するといっても、自分の意見をまったく言わないほうがよいという意味ではありません。大切なのは、相手を尊重しながら伝えることです。
ここでは、相手に寄り添いながら本音を届ける上手な伝え方を解説します。
クッション言葉で発言を和らげる
言いにくいことを伝える際、いきなり本題に入ると相手に衝撃を与えてしまいます。そこで役立つのがクッション言葉です。本題の前にお詫びや配慮の言葉を挟むことで、相手が受け止める準備をしやすくなり、言葉の鋭さを和らげる役割を果たします。
特に、断りを入れるときや反論するとき、依頼するときに役立つスキルです。一言添えるだけで、配慮ができる人という印象につながり、相手もこちらの意見を受け入れやすくなります。
- 依頼・質問
-
恐れ入りますが/差し支えなければ/お忙しいところ恐縮ですが
- 断り・辞退
-
あいにくですが/大変残念ですが/せっかくのお申し出ですが
- 反論・意見
-
言葉足らずで恐縮ですが/申し上げにくいのですが/私の勉強不足かもしれませんが
相手を指摘せずに自分の感想として伝える
相手に行動を改めてほしいとき、「あなた」を主語にすると、責められていると受け取られ、防御反応につながることがあります。そこで有効なのが、主語を「私」にする「I(アイ)メッセージ」という手法です。
オーストラリアのクイーンズランド州政府の公式サイトでも、効果的なコミュニケーションの例として「I Statement(アイ・ステートメント)」を紹介しています。(出典:Communicating effectively|Business Queensland, 2022-11)
私を主語にして、自分の気持ちや希望を伝える言い方を指します。日本語では、同じ考え方を「I(アイ)メッセージ」と呼ぶこともあります。
相手を決めつけるのではなく、自分の感情や希望として伝えることで、相手に意図が伝わりやすくなります。相手を責める印象を和らげ、協力を得やすくするための伝え方です。
| You(ユー)メッセージ | I(アイ)メッセージ |
|---|---|
| 「(あなたは)なんで連絡してこないの?」 | 「(私は)連絡がないと心配してしまう」 |
| 「(あなたの)その言い方は失礼だ」 | 「(私は)そのような言い方をされると悲しい」 |
| 「(あなたは)もっと早く提出すべきだ」 | 「(私は)早めに提出してもらえると助かる」 |
ネガティブな言葉をポジティブに変換する
思ったことを口に出してしまうとき、相手の欠点やネガティブな側面に意識が向きやすいことがあります。しかし、物事には必ず裏と表があります。短所に見える特徴を別の見方で捉え直し、肯定的な言葉で伝える「リフレーミング」を意識してみましょう。
前述したオーストラリアのクイーンズランド州政府の資料では、ポジティブな言葉を使うことの重要性が紹介されています。同じ事実でも、表現を変えることで相手の受け取り方が変わることがあります。嘘をつくのではなく、視点を変えて事実を伝えるスキルです。
| つい言ってしまう言葉 | ポジティブな言葉 |
|---|---|
| うるさい/騒がしい | 元気がある/活発である |
| 優柔不断/決断が遅い | 慎重である/思慮深い |
| 理屈っぽい | 論理的である/筋が通っている |
| 飽きっぽい | 好奇心が旺盛/切り替えが早い |
| おせっかい | 面倒見が良い/親切である |
自分の意見を押し付けずに相手へ提案する
自分の正しさを主張したいとき、「〜すべきだ」「〜はダメだ」と断定的な口調になりがちです。しかし、断定が続くと相手は否定されたと感じやすく、反発につながることがあります。
意見を通したいときほど、断定を避け、疑問形や相談の形で提案する姿勢が大切です。
「〜するのはどうかな?」のように相談の形で投げかけると、決定権を相手に残したまま意見を共有しやすくなります。
相手の意思を尊重する姿勢が伝わるため、上から目線の印象を避け、話し合いも進めやすくなります。
思ったことを言ってしまう原因と改善法まとめ


この記事では、思ったことを言ってしまう原因と具体的な改善法、さらに相手に寄り添いながら本音を届ける上手な伝え方について解説しました。
思ったことを言える正直さは、裏表がないという長所でもあります。しかし、言い方を誤ると相手を傷つけてしまい、結果として自分が落ち込むこともあります。
大切なのは、発言前に一呼吸置き、相手の受け止め方を想像したうえで言葉を選ぶことです。まずは一呼吸置くところから始め、状況に応じてクッション言葉やアイメッセージを活用し、伝え方を工夫する意識を持ってみてください。
最後に、ここまでのポイントを振り返りましょう。
- 会話を思考の整理の場として使うと、思考がまとまる前に口が動き始めやすい
- 沈黙に強い不安や気まずさを感じると焦りが増え、余計な一言が出やすくなる
- 承認欲求が強いと話す満足感を優先し、会話の腰を折ってまで主張しやすい
- 正しさを優先しすぎると、伝え方によって相手を傷つける可能性がある
- 疲労や精神的なストレスが蓄積すると余裕が減り、言葉がきつくなりやすい
- 意識して「間」を作り、深く息を吸って吐く動作を行う
- 一呼吸置いたタイミングで問いかけを投げかけ、習慣をつけることが大切
- 「これを言われたら相手はどう感じるか」を立ち止まって考える習慣を持つ
- 空気や関係性を優先する意識を持ち、強力な抑止力とする
- 自分が話す量を意識して減らし、聞き役に徹して失言のリスクを抑えやすくする
- 思ったことをノートやメモに書き出すことは、言い回しを整える気持ちの余裕を生む
- クッション言葉を挟み受け止める準備をしやすくし、言葉の鋭さを和らげる
- 断定を避け疑問形や相談の形で提案することによって上から目線の印象を避け、話し合いが進めやすくする
よくある質問
思ったことを言ってしまう性格は治しにくいですか?
性格を一気に変えるのは簡単ではありませんが、行動や習慣は見直せます。性格だから直らないと決めつけず、発言前に一呼吸置く、思ったことを書き出すなどの具体的な工夫を繰り返すことで、衝動的な発言は抑えやすくなります。
正直に言うことの何がいけないのですか?
正直であること自体は悪いことではありません。ただ、相手の状況や気持ちへの配慮が欠けると、正直さが「無配慮」と受け取られることがあります。事実を伝えるときほど、言い方を整え、相手を尊重する姿勢もあわせて意識しましょう。
相手も思ったことをズケズケ言ってくる場合はどうすればいいですか?
相手の言葉を真正面から受け止めすぎず、距離を取る意識が役立ちます。同じ土俵で言い返すよりも、「そういう考え方もあるんですね」と受け流したり、やり取りの量を減らしたりして、まず自分を守りましょう。必要に応じて、話題を変えるなど関わり方を調整するのも一つの方法です。
言いたいことを我慢するとストレスが溜まりませんか?
無理に抑え込むだけだと、ストレスが溜まることがあります。言わずに抱えるのではなく、思ったことを紙に書き出すなど、言葉を外に出す場所を変える工夫が有効です。また、伝える必要がある場面では、クッション言葉やIメッセージを使い、角が立ちにくい形に整えることも役立ちます。



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